勤続61年 86歳の現役女性社員の玉置泰子さんインタビュー「仕事と人生を楽しむ秘訣」【サンコーインダストリー株式会社】

大阪市では、女性活躍リーディングカンパニー認証企業や認証をめざす企業への人事担当者や女性社員を対象に、情報交換・交流の機会を設けています。平成28年10月18日に開催された「第3回女性活躍ネットワークフォーラム」で事例発表を行った、サンコーインダストリー株式会社で勤続61年、86歳(2017年1月30日現在)の現役女性社員としてご活躍中の総務部 部長付課長 玉置泰子さんをご紹介します。

※サンコーインダストリー株式会社の取り組みはこちらをご覧下さい。

玉置さんは、女性が活躍することが珍しかった時代から、仕事もプライベートも楽しみながら長年働き続けられています。
玉置さんの仕事に対する思い、人生の楽しみ方についてお伺いしました。

サンコーインダストリー株式会社
1946年創業 大阪市西区に本社を置く「ねじ」の総合商社。「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」認証企業。

 

勤続61年 86歳の現役女性社員 玉置泰子さん

ーー簡単にご経歴と現在の業務内容を教えてください。

1955年、25歳の時に入社しました。総務と経理業務からのスタートでした。
本社社屋完成やコンピューター導入、社名変更など会社の発展と変化に対応しながら、多様な業務を行い管理職経験もしました。

現在も、 決算・TQC(総合的品質管理)の事務局・政府に提出する統計データの作成・社員研修の企画運営など幅広く業務をこなしています。

ターニングポイントと長く働き続けている秘訣

ーー勤続61年の中で印象に残っている出来事は何ですか?

1981年、41歳の時のコンピューターの導入です。

コンピューターに苦手意識を持つ人が多い中、私は好奇心旺盛だったのでコンピューターに興味をもち、1つ1つわからないことをクリアしながら前向きに取り組みました。

コンピューターに馴染めなかった人が退職をしたこともあり、ここを乗り越えられたことは、仕事を続ける中で大きなターニングポイントだったと思います。

ーー長く働き続けている秘訣は何ですか?

仕事が面白かったからです。
会社に甘えずに自立した働き方を心がけてきました。

どんな些細な仕事でも「私の仕事、自分が主人公」という気持ちを忘れず、自ら目標を定め、計画的に実行して結果をだしてきました。

働く目標・目的をはっきりさせることで、周りに振り回されることなく楽しく仕事に取り組めてこれたのだと思います。

ーー入社当時から高い意識をもって働かれていたのですか?

若い頃は遊んでばかりいましたよ。

スキーやテニス、卓球など会社のサークル活動に積極的に参加し、若い社員たちと一緒に遊びまわってきました。

金曜の夜からスキーに行き、月曜日の朝に帰ってきてそのまま仕事ということもありました。

仕事も遊びも一生懸命で楽しかったです。

最近は体力的に厳しくなってきているのでプライベートの楽しみ方も変わってきました。

ーー今はどのような楽しみ方をされますか?

読書が趣味で、家には300冊ほど本があります。

好奇心旺盛なのでジャンル問わずいろんな本を読むようにして、新たな気づきや学びを得ることを楽しんでいます。

最近エッセイの勉強を始め、表現することの楽しさを感じています。同時に漢字にも興味をもち昨年は漢字検定2級を取得しました。今は準1級に向けて勉強中です。

いくつになっても自分の時間を大切にし、幅広い視野で挑戦する気持ちを忘れないことですね。
これが仕事の成果にも繋がっていると思います。

私は自分が限界を感じるまで仕事も趣味も続けていきたいです。

管理職時代に苦労して乗り越えたこと

ーー仕事で大変だったことは何ですか?

いろいろあったけど、何もかも楽しむことがモットーだったので、60年振り返って何が大変だったか?と言われると思い出せません。。。会長や社長の経営理念にも強く共感していましたし、社員のチームワークが良かったので人間関係で悩むこともなかったです。

ただ、強いて言うなら、35年前の管理職時代につまずいたことがありました。
部下をもった際に、自分の理想が高すぎて、部下から理解されずに反発を受けることがありました。

会長には「部下を育てるのが一番下手な課長だ」と言われるほどでした。

ーーどのようにして乗り越えられたのですか?

理想を押し付けたり、最初から仕事を振っていくのではなく、1〜2年じっくりと一緒に仕事をして自分の仕事の方法と仕事の姿勢を見せること、そして理解してきたタイミングで挑戦させて側で見守るようにしました。

何事も基礎が大事だと思っています。「しっかり基礎を作った上で自分なりのお城を作りなさい」と伝えています。

部下は自分のアシスタントではなく、パートナーでありその仕事の主人公なんです。

「自分が主人公」という気持ちを持たせ、自立して働くことができるようにすることが上司の役目だと思いました。

目標と思いやりや感謝の気持ちを持つこと

ーー今の若者に思うことは?

今の若い女性は遠慮なくはっきり意見を言うようになりましたね。
今の時代だからできることだし、勇気があることです。

意見を言えるということは、仕事を理解していることなので優秀だと思います。
このご時世、不安定なこともあるので、やはり自立することが大切です。

仕事は誰かに言われたからやるのではなく、自ら目標・目的を持って意欲的に取り組むことができるようになると、どんな時でも乗り越えられるようになります。

また常々社長が言っていて、私も大切にしていることが「自分以外は皆お客様」という考え方です。

上司も同僚も部下もみんなお客様と思って接すれば、自然に言葉遣いも仕事も丁寧になります。感謝の気持ちも生まれます。

そうすると、いい関係になり、よい仕事ができ、よい結果につながっていきます。
社員とその家族の幸せにもつながっていきます。

「私たちのミッションはお客様のお役に立つということです」

ノートに書き留めて、常に心がけていることです。

若い人たちには、しっかり目的を持ちまっすぐ突き進むこと、周りの方への思いやりや感謝の気持ちを持つことを大切にしてほしいですね。

自分を客観視することで見えてくるもの

ーー活躍したい女性に向けたメッセージをお願いします。

たまには自分を客観視してみてください。

自分の強みや足りない部分を冷静に見る目があると、自分のことがより理解でき、自分らしく生きていけるようになります。

私は86歳になり、周りの友人が旅立つことが増えていますが、日々を大切に生きているのでいつお迎えがきてもいいと思うほど満たされ充実した日々を送っています。

いくつになっても、自分に素直になり、挑戦する気持ちをもち、目標をもって突き進んで欲しいと思っています。

それも人から言われるのではなく、自分で気がつくことが大切です。
だから、自分を客観視してみてください。

玉置さんはインタビューの間、何度も「自立」「挑戦」「感謝」という言葉を使われていました。

男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年。
玉置さんはそれ以前から活躍されており、時代の変化や環境の変化、長年の様々なご経験から紡ぎ出される言葉には重みと説得力がありました。
仕事場も見学させていただきましたが、女性社員の方が皆いきいきとした表情で活気が溢れていました。

玉置さんは、会社のお母さん的存在で、女性社員だけではなくみんなのお手本となり、頼られ、愛されている様子がよく伝わってきました。

「自立」「挑戦」「感謝」

女性が活躍し続けるための大切なキーワードではないでしょうか。


大阪市女性活躍リーディングカンパニーについては大阪市のHPをご参照ください
http://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000282105.html

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